投資被害について(証券、先物、デリバティブ)

1.はじめに

投資被害については、法規制が強化されてきてはいますが、今なお後を絶ちません。
私たちはこれまで「先物取引」に関する訴訟を多く手掛けてきました。

最近は、国内公設市場での「先物取引」に関するトラブルそのものは減りました。
そのかわりに、「未公開株」「社債」の名の下に金銭を預り返還しない、というタイプのトラブルが増えました。また、銀行や証券会社が扱う金融商品についても、「仕組み債」「デリバティブ」などをめぐるトラブルが増えています。

 

2.投資被害の種類

(1)詐欺的商法であると思われるもの

「未公開株」「社債」トラブルなどに多く見られますが、たとえば、「劇場型」と言って、たとえば、A会社から未公開株購入の勧誘の電話がかかり、ちょうどタイミング良く、第三者と称する者からも電話があり「A会社の株があれば高値で買い取る」というような話がなされ、すっかり信用してしまい、お金をA会社に振込んでしまったというような話など、客観的に見ると、明らかに詐欺的商法であると考えられる種類のトラブルが増えています

この手のトラブルは、相談して頂ければ、的確なアドバイスを差し上げます。
但し、相手会社が詐欺的商法によって経営を成り立たせているとすれば、会社がいずれ消滅する可能性が高いので、被害金を現実に回収することには困難を伴います。回収できる可能性もありますが、回収できない可能性もかなりあります。

 

(2)従来からよくある「先物取引被害」のようなパターン

先物取引などの投資取引について、よくわからないままに勧誘され、大きな損が出た、ということについてよく調べてみると

(a)業者が全くの取引の素人を勧誘した、あるいは、年齢的に取引の仕組みを理解できない人を勧誘した
(b)とても危険な取引なのに、そのことを業者がしっかり説明していない
(c)内容について、業者に手数料が入るような取引手法ばかりがなされている。
(d)(c)の結果、お客の損の大半が手数料

いうことが、極めて多いのが現状です。
このようなことが、裁判で立証できれば、被害金額について、少なくとも一部は返還してもらうことが可能になります。

 

(3)仕組み債、デリバティブなどのトラブル

「通貨オプション」など、危険性の大きい商品について、本来それに投資する必要のない中小企業が、銀行や証券会社の担当者の勧めに従って投資し、大きな損害を出したという例が多く発生しています。

これらのトラブルについては、銀行や証券会社を相手に訴訟や金融ADRなどをすることになります。
当事務所の弁護士が加入する神戸先物・証券被害研究会では、この分野に力を入れています。

この種のトラブルについてご相談頂いたときには、現在のところ、基本的に、同研究会所属弁護士とともに弁護団を組んで被害回復に向けて活動をすることにしています(弁護団・複数受任になっても、弁護士費用がその分余計にかかるということはないように配慮します)

 

3.投資被害案件に対する基本的考え方

訴訟手続による解決を基本とします。ただし、依頼者の意向や、相手会社の状況等からみて、依頼者にとっての最大の利益確保の意味で有利と考えれば、早期に和解解決することも御提案します。

勝訴できるかどうか、何割返還を求められるか、等は、一概には言えず、ケースバイケースです。

 

4.当事務所の弁護士が獲得した判決

下の表に挙げるのは、先物取引被害事件について、当職が訴訟代理人として判決を獲得したものです。(他の弁護士との共同受任を含む)

事件の解決は、

  1. 訴訟をせずに和解
  2. 訴訟のなかで和解
  3. 判決

などがあります。

数としては、(3)判決よりも、(1)(2)の和解で解決したものの方が多数になりますが、判決は同種事件の基準になるなど特別の意味を持ち、公開のものなので、ここに紹介します。

裁判例の表

裁判所 判決日 業者名 認容額 内  容
神戸地方裁判所
大阪高等裁判所(和解)
H16.2.5
H16.7.29
第一商品株式会社 約4,500万円
(過失相殺2割)
70歳代後半の年金暮らし主婦の事例。
神戸先物研の3名の 先輩弁護士と村上が 共同受任して行った。
神戸地方裁判所 H18.2.15 日本アクロス
株式会社
約4,200万円
(過失相殺なし)
一人暮らしで取引当時認知症であったことが 推認される老人男性の例。
神戸地方裁判所 H18.4.21 岡地株式会社 約500万円
(過失相殺7割)
他2社で先物取引経験のあった女性。
取引歴があったが、 実質的には先物取引を 理解できなかったことや説明不足等が認められた。
神戸地方裁判所 H18.5.12 メビウストレード
株式会社
約4,000万円
(過失相殺なし)
40歳代男性。
損害額を超える額の 手数料が計上されていた。仕
切拒否(取引をやめさせてもらえない) の事実も認められた。
神戸地方裁判所 H18.12.19 第一商品株式会社 約4,000万円
(過失相殺2割)
70歳代の農業を営む男性の事例。
神戸先物研の先輩弁護士と村上が共同受任して行った。
大阪高等裁判所 H18.12.20 岡地株式会社 約350万円
(過失相殺8割)
上記平成18年4月21日判決の控訴審。
神戸地方裁判所 H19.3.20 三貴商事株式会社
光陽トラスト株式会社
約1億円
(過失相殺無し)
70歳代の農業を営む男性の事例。
神戸先物研の先輩弁護士と村上が共同受任して行った。
次々と取引規模を拡大するように勧誘され,約1億円を拠出された悪質な例。
神戸地方裁判所 H19.7.19 光陽ファイナンシャルトレード株式会社 約400万円
(過失相殺7割)
60歳代の自営男性。
無意味な反復売買の違法が認定されている。
神戸地方裁判所 H19.9.19 オリオン交易株式会社 約3,300万円
(過失相殺4割)
60歳の女性。
業者の説明義務違反等の違法が認められ, 本件では,被害者の精神的損害に対する慰謝料100万円も認容された。
神戸地方裁判所 H19.10.22 スターアセット証券株式会社 約215万円
(過失相殺8割)
60歳代の自営男性。
適合性原則違反等が認定された。
控訴審(大阪高裁)で地裁認容額を上回る和解をしている。
神戸地方裁判所 H19.11.7 日本アクロス株式会社 約540万円
(過失相殺5割)
60歳代女性の被害例。
業者の説明義務違反,両建勧誘の違法等を認定した。
神戸地方裁判所 H20.3.14 第一商品株式会社 約2,600万円
(過失相殺6割)
女性が,70歳代から80歳代にかけて,巨額の被害を被った被害事例。
過大な取引を勧誘した等の違法が認定された。
大阪高等裁判所 H20.5.15 日本アクロス株式会社 約760万円
(過失相殺3割)
上記平成19年11月7日神戸地裁判決の控訴審。
損害賠償認容額が増額されている。
大阪高等裁判所 H20.9.25 第一商品株式会社 約3,600万円
(過失相殺2割5分)
上記平成20年3月14日神戸地裁判決の控訴審。
損害賠償認容額が増額されている。
神戸地方裁判所 H20.10.30 ひまわりシーエックス株式会社
株式会社USSひまわりグループ
約2,000万円
(過失相殺3割)
50歳代の工事事業自営の男性。
次々に投資額を増やすよう勧誘された