その他のご質問 Q2

Q.大学に入学金を納めた後、その大学への入学を辞退した場合、大学は入学金を返さなくてよいとの最高裁判所の判決があるようですが、一体どういった理屈なのですか。

 

 A. 

 複数の大学を受験し、先に合格した大学に入学金を納めて入学手続を行った後、第1希望の大学の合格が決まったため、先に入学手続を行った大学への入学を辞退することは、よくあることです。
 このとき、先に入学手続を行った大学に対し、入学金の返還を求めることはできるでしょうか。
 この問題につき、最高裁判所は、学生が大学に対し必要書類を提出し、入学金等を納めた時点で、学生と大学との間には「在学契約」という契約が成立しているとしたうえで、「学生は、原則として、いつでも任意に在学契約等を将来に向かって解除することができる一方」、「学生が大学に入学し得る地位を取得する対価の性質を有する入学金については、その納付をもって学生は上記地位を取得するものであるから、その後に在学契約等が解除され、あるいは失効しても、大学はその返還義務を負う理由はない」と判示しました(最高裁平成18年11月27日判決)。
 つまり、学生は、入学手続をした後でも、いつでも入学を辞めることはできるが、入学金については、その大学に入る権利を確保するために支払ったものであるから、入学を辞めたからといって返してもらうことはできない、と最高裁判所は考えているのです。
 ただし、入学手続の際に納めた授業料(施設設備費なども含む)や会費(学生自治会費など)も返さないという特約については、最高裁判所は、別の判断をしています。すなわち、こうした特約は、「在学契約の解除に伴う損害賠償額の予定又は違約金の定めの性質を有する」とした上で、入学の辞退が「3月31日までにされた場合には、原則として、大学に生ずべき平均的な損害は存しない」から、消費者契約法9条1号(=消費者と事業者との間で締結された契約では、契約を解除したときに支払うべき損害賠償や違約金の額が決めてあったとしても、事業者に生じる平均的な損害を超える部分は無効とする、という法律です)により、無効であるとしています(なお、「推薦入学試験」の場合は、その学生が入学することを前提として大学も準備していること等から、「初年度に納付すべき授業料等及び諸会費等に相当する平均的な損害が生ずる」(したがって、初年度分の授業料や会費は返してもらえない)と判示していることに、注意が必要です)。
 このように、最高裁判所は、明確に理屈を分けた上で、いったん納めた入学金は返してもらえないが、授業料や会費は返してもらえる、と判断しているのです。