その他のご質問 Q5

Q.現在、マンションを借りていますが、そろそろ引っ越そうかと考えています。
  契約時に敷金を交付していますが、返ってくるものでしょうか?
  いろいろな費用が引かれて敷金はあまり返ってこないという話も聞きますが、実際はどうなんですか?

 

A.

 敷金とは、建物等の不動産賃貸借契約から生じる債務を担保するために、契約時に賃借人が賃貸人(大家さん)に対して交付する金銭のことです。
 ここでいう賃貸借契約から生じる債務とは、滞納家賃や賃借物破損による損害賠償債務、契約終了にもかかわらず明け渡さなかった場合の賃料相当額の損害賠償債務等、実際に不動産を明け渡すまでに賃借人が賃貸人に対して負担する一切の債務をいいます。
 賃貸人(大家さん)の立場からすると、家賃を支払ってもらえなかったり、貸した物件が破損した場合などに、滞納家賃や修理代などを敷金から回収できるということです。
  
 賃借人が賃貸人に対して負担すべき債務が全くない場合には、有効な特約がない限り、敷金は本来全額返還されるべきものといえます。
  
 しかし、現実によく問題になるのは、修繕費等が敷金から(大幅に)引かれ、結果的に自分が思っていたよりも少ない額しか返ってこない場合です。

 原則として、賃借人が不動産を通常の用法に従って使用していたにもかかわらず傷んでしまったような場合(畳や障子の経年劣化等)には、通常損耗といって、その修繕費用は普段の家賃に含まれていると考えられます。つまり、有効な特約がない限り、通常損耗に関する修繕費用を敷金から差し引くことはできません。

 他方で、賃借人の故意・過失によって不動産を損耗させてしまった場合(壁の落書き、たばこのヤニ等)には、賃借人には原状回復義務があり、それにかかる修繕費は賃借人が負担すべきということになります。

 どのような場合に賃借人に原状回復義務があるのかについては、国土交通省から「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が出されていますので、参考にしてみてください。

 敷金返還請求権は、賃貸借契約が終了して、実際に不動産を明け渡したときに発生するというのが判例の考え方です。
 明け渡す際に、契約時と比べて不動産が損耗して修繕が必要なところがあるかないか、損耗の原因は何か等を確認することが重要であると考えます。 
 敷金返還額に関して納得できない場合は、まずは返還額の算定根拠を説明してもらうのがよいでしょう。そして、納得できない場合には、場合によっては簡易裁判所での少額訴訟等の制度を利用する方法もあり得ます(ただし、費用対効果の問題はあります)。