労災について Q5

(派遣労働での労災事故。労災の手続は?派遣先、派遣元の責任は?)
Q.私は人材派遣会社であるA社に登録し、派遣された現場であるB社の事業所で働いていました。そうしたところ、B社事業所で作業中に事故に遭いました。
 この場合、労災の手続はどうやってすれば良いですか。
 また、大変危険な作業だったと思うので、会社に事故の責任を追及したいと思っていますが、どちらに責任追及すれば良いでしょうか。

 

A.

1 まず労災保険については、あなたは、あなたの雇用主である派遣元(A社)を通じて労災保険に加入されているはずです。
 労災保険の手続はA社を通じて行いますので、手続についてはA社に連絡して下さい。
2 作業が危険であったり、危険な現場であったことについて損害賠償請求をする場合、A社(派遣元)とB社(派遣先)どちらに対して請求することも考えられます。
 直接的には、現場の作業について安全管理を行っていたのはB社(派遣先)ですから、まずはB社の責任を考えるのが一般的です。ですので、B社に対して損害賠償請求をすることになるでしょう。
 一方、事情によっては、派遣元であるA社にも責任が認められる場合があります。派遣社員の健康状態、派遣先の業務内容等を把握して、必要な情報提供や安全教育を施すこと、また、危険がある場合には派遣しないことなどについて、A社の派遣労働者に対する安全配慮義務があると考えることができます(なお、労働者派遣法31条は、派遣元に対して、適正な派遣就業の確保についての配慮義務を規定しています)。
 参考になる裁判例としては、過労が原因で罹患したうつ病により労働者が自殺した案件について、派遣元と派遣先の両方の責任が認められた裁判例(東京地裁平成17年3月31日。判例タイムズ1194号127ページ)などがあります。
 従って、場合によっては、被った損害についてA社とB社と両方に対して損害賠償請求することになります。
 もちろん損害賠償金が二重にもらえるわけではありません。
 あなたの立場からすれば、A社からでもB社からでもあなたの損害金全額を受け取ればそれで終了です。(なお、A社とB社との間では責任の割合に応じて分担を決めることになります。)
 なお、企業と言っても支払能力が十分な場合ばかりとは限りません。極端な場合、事故後の処理が終わるまでに倒産してしまうケースもあります。そのようなこともあり、複数の会社に責任があると考えられる場合は、双方に対して損害賠償請求をすることを考えることが通常です。