スタッフのコラム

「これからどうするか」の法律相談~弁護士村上英樹

 書店に平積みになっているベストセラーの「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」(ダイヤモンド社)を最近読みました。

 その中で、次のような内容がありました。

 カウンセリングに来る人の話す内容は、3つの内容に分類され、

A「悪いあの人」

B「かわいそうな私」

C「これからどうするか」

のどれかにあてはまる、のだそうです。

 そして、カウンセリングの中で、「悪いあの人」「かわいそうな私」の話ではなく、「これからどうするか」に焦点を当てた話になるようにもっていく、それが有用なカウンセリングになる、というようなことが書かれていました。

 それを読んでなるほどと思いました。

 法律相談においても、共通する部分があります。

 当然、トラブルに見舞われた人にとっては、「悪いあの人」が登場して、いろんな迷惑をかけられた、そのため、アンラッキーな目に遭っているので「かわいそうな私」という状態になっているのです。

 これはまったくその通りで、事実関係を聴くことによって、

A「悪いあの人」

B「かわいそうな私」

ということを把握できます。また、そういう立場の相談者の置かれた心境をよく受け止めることも相談において重要なことです。

 ただ、「確かに『あの人』悪いですね」「あなたは『かわいそう』ですね」というだけでは前に進んだことにならないのも確かです。

 法律相談は、トラブルの解決への道筋をみつけるためのものですから、事実関係の聴き取りを必要な範囲で行った後は、

C「これからどうするか」

に焦点を当てて話をする必要があります。

 多くの場合、法律相談に来られる人もそのことはよく分かっておられます。

 「これからどうするか」を考えたくて相談に来られていますが、トラブルに見舞われた特殊な心境の中で「これからどうするか」を整理して考えることができずに苦しんでおられる方が多いです。

 私たち弁護士の役割の重要な部分が、法律相談や事件の打ち合わせで話をする中で、

C「これからどうするか」

を実際的に、相談者や依頼者の皆さんと、整理しながらお話しすることになります。

 そして、表情に余裕がなかった依頼者の方でも、話を進めて「これからどうするか」の話を建設的に行っているとき、そういう打ち合わせを終えて帰られるときは、それまでよりも明るい表情、声色になられていることが多いです。

 「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」の本を読んで、改めて、法律相談の在り方、私たち弁護士の役割を確認することができました。

 皆さんの「これからどうするか」の助けになるよう、より一層励んでいきたいと思っています。

                            弁護士 村上英樹