スタッフのコラム

敏速なレスポンス(弁護士 村上英樹)

 私が仕事をする上でとても大切にしていることの一つに,

「敏速なレスポンス」

というのがあります。

 この言葉,実はパクリで,自分が2台目に買った車の謳い文句をそのまま頂きました。

 今はメール(さらにはチャット機能の)時代ですから,本当に,瞬間的なレスポンスでやりとりをすることができます。

 ですので,

・ 事務連絡や日程調整など

・ 検討しなくてもいい,返事をするだけの用件

については「見たらすぐ」の対応が可能です。

 それができる人の間なら,複数の人が関わっていることでもピンポンのようにやりとりが行われ,物事が決まっていきます。

 一方,弁護士の仕事の場合,事の性質上,「時間を取ってじっくり考える必要のあるもの」「準備に時間がかかるもの」もあります。

 また,メール・電話・手紙で伝えるのでは真意が伝わりにくいこともあって,その場合は「直接会って」話をしなければならないこともあります。

 こういう事柄を抱えている場合,必ずしも「敏速なレスポンス」ができにくいことがあります。

 これは,弁護士に限りませんね。

 

 ところで「敏速なレスポンス」ができにくい場合には,次のような状態も起こりがちです。

 仕事を頼んだ人はただ待っている状態。

 頼まれた人は,一生懸命仕事をしている場合もあるし,他の案件をやっていて手が付けられていない状態のときもある(これは依頼者には分からない)。

 けっこうよくあることです。

 私は,弁護士に対する苦情相談窓口で,苦情をきく係を担当した経験がありますが,弁護士に対する苦情の何割かが,

「時間がかかり過ぎている」

「仕事をしてくれているかどうかさえ分からない」

というものでした。「敏速なレスポンス」の反対ですね。

 弁護士業は,相手とのトラブル解決ですから,「どうしても時間がかかる」「弁護士の努力如何では早くできない」こともあります。

 弁護士はちゃんとやっているけれども,その状況からして「何ヶ月か待っているしか仕方ない状態」ということもあります。

 これはジタバタしても意味がなく,ただ「待つしかできない時間」です(訴訟中で,相手方が書面の準備をするための期間などが典型的です)。

 こういう風に仕事に時間がかかること自体は仕方のないことです。

 ただ,事件をあずかる弁護士として,心掛けなければならないのは,すぐに処理できない状態の仕事がある場合でも,依頼者に対して,

・ 今どういう状態なのかを逐次報告する。

・ 自分の努力で早くできること(書面を作る,何かの連絡を取る,など)は,極力早くする

ということです。

 これを心掛ければ,依頼者からみたときでも,最も「敏速なレスポンス」になるはずです。事件解決までに時間はかかっていても,弁護士の仕事ぶりとしては「敏速」である,ということです。

 また,そのときできることをすぐに処理するように心掛ければ,仕事をする弁護士の側も,「未処理の用件」や「曖昧な状態の案件」が積み残されていないため,集中して良い仕事がしやすくなります。

 こんなこと当たり前と思われるかも知れませんが,弁護士は「専門家気質」を持っている人が多いので,そういう人は,どうしても「時間を忘れて」しまう傾向になってしまいがちです。悪気はないんですが…

 ただ,やはり,依頼者の立場を想像すれば「どうなっているか分からない」のが一番不安ですから,私は,弁護士は「敏速なレスポンス」を心掛けるのが何より大切だと思っています。

 さてさて,「敏速」という意味では,肉体的な条件としては若い人のほうが有利なはずです。

 しかし,弁護士の中には,私よりずっと高齢でも本当に「敏速なレスポンス」だなあ,と思う人もいます。そういう人は例外なく,内容も質が高いです。

 そうしてみると,この点での「心掛け」の差は,年齢による肉体的条件の差よりも大きいのだな,と思わされます。

 私も良い「心掛け」を続けて,依頼者の皆様にとって心地よい「レスポンス」で,質の高い仕事ができるよう努力していきたいと思っています。

                           弁護士 村上英樹