スタッフのコラム

衆議院議員選挙とAKB総選挙にみる「選挙権の平等」 (弁護士 津田 裕)

 現在、国会では、衆議院の議員定数をめぐる議論がなされています。

 これは、平成21年8月30日に行われた前回の衆議院議員選挙について、最高裁判所が、選挙区間の投票価値の較差が最大で2.304倍に達していたこと等を理由に、「憲法の投票価値の平等の要求に反するに至っていた」と判決したことを受け、次の衆議院議員選挙までに、選挙区割りを是正しなければならないという一面があるようです。

 ところで、最高裁判所がいう「憲法の投票価値の平等の要求」とは、いったい何でしょうか。

 憲法14条1項は、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」として、いわゆる「法の下の平等」を規定していますが、この規定から「選挙権の平等」が導かれます。

 この「選挙権の平等」には2つの意味があると言われています。1つは「1人1票の原則」、もう1つは「投票価値の平等」です。
 すなわち、憲法は、投票の数的平等である「1人1票の原則」にとどまらず、各投票が選挙の結果に対してもつ影響力の平等である「投票価値の平等」も保障しているのです。

 衆議院議員選挙は、もちろん1人1票ですから、その意味では平等なのですが、先に挙げた最高裁判所の判決は、選挙区間の人口数や選挙人数との比率において、選挙人の投票価値(1票の重み)に不平等があることを指摘し、「憲法の投票価値の平等の要求に反するに至っていた」と判決したのです。

 なお、何かと話題のAKB総選挙は、CD1枚につき1枚の投票券がつく選挙であり、CDを買った枚数だけ投票できるため、「1人1票の原則」こそ満たしていませんが、1票の重みに特に差はなく、その意味で「投票価値の平等」は満たしているのかもしれませんね。

(弁護士 津田 裕)