スタッフのコラム

判決書の席取り・・裁判こぼれ話 その1 (弁護士 妹尾圭策)

 判決書の席取りという表題を掲げても、読まれる方には何のことか理解できないであろう(花見の際の席取りなら判るが、判決書の席取りとはナンノコッチャ?)。
 私が司法修習生の頃、先輩裁判官から聞いた話である。
 その当時、判決書は、裁判官が手書きで原稿を作成し、裁判所のタイピストが和文タイプで浄書していた。事件の増加にタイピストの増員が追いつかないため、その当時私が修習していた裁判所では、タイピストによる浄書に1か月以上の期間を要していた。
 迅速な事件処理をしていると定評のあったその裁判官は、自分は判決書の席取りをしていると、自慢げに裏話をしてくれた。
 その方法は、次のようなものである。弁論終結後直ちに、既に言渡しを終えた判決書の原稿を、事件番号、当事者の名前などの部分のみを終結した事件のものに書き換えて、タイピストに渡し、浄書の順番を確保する。そうして、何日かあるいは何週間か後に、「前に渡した判決書に間違いがあって訂正したので、差し替えてほしい。」と言って、出来上がった判決書の原稿を渡すと、その判決書は、先に確保された順番に従って、早々と浄書されるというわけである。
 ちなみに、その裁判官は、その後も顕著な栄進を遂げた。
                                           (弁護士 妹尾圭策)