スタッフのコラム

裁判官を選ぶことができた話・・裁判こぼれ話 その2 (弁護士 妹尾圭策)

 現行民事訴訟法の前の旧民事訴訟法では,控訴状は,原審の裁判所,控訴裁判所のいずれに提出することもできた。その当時の話である。
 某弁護士は,受任した事件(訴額も大きく,その弁護士にとっては重大な事件であった。)の一審で敗訴し,高裁に控訴状を提出した。ところが,その事件が配点された部は,某弁護士が,以前,争点が似た事件で敗訴の判決を受けた部であることが判明した。そこで,某弁護士は,直ちに控訴を取り下げて,控訴期間内に改めて控訴状を提出し,別の部で審理を受けることとなった。
 某弁護士は,最初の控訴状に貼った印紙代の半分を放棄することになったものの,別の部で審理を受けることが,確実に,かつ,合法的にできたというわけである。
 以上は,平成の初めころ,私が裁判官として高裁で勤務していて,実際に体験した出来事である。
 担当部が替わったことによって,某弁護士が逆転勝訴の判決を受けることができたのかどうか,また,上記のようなことが弁護士の間でどの程度認識され,どの程度行われていたのかについては,承知していない。
                                             (弁護士 妹尾圭策)