スタッフのコラム

成年被後見人に選挙権~公職選挙法改正(弁護士 村上英樹)

 例えば、認知症などで判断能力が低下した場合に備えて成年後見制度というのがあります。

 家庭裁判所の審判によって、成年後見人が選任され、本人に代わって財産管理をしたり契約をしたりする仕組みです。

 この場合の、本人について、今までは選挙権がないとされていましたが、今年、選挙権を認めないのは憲法に違反するという判決(東京地裁平成25年3月14日判決)が出され、その後、国会もそれに対応して、5月末に法改正がなされました。

 今年の夏の参議院選挙から、成年被後見人(成年後見が開始された場合の本人)も選挙権を持つことになります。最高裁の調べでは、約13万6千人(昨年末時点)の選挙権に影響するそうです。

 判断能力の低下があると言っても人それぞれであり、また、選挙権は、国が国民の意思を反映して運営される民主主義の基本ですから、制限は本当に最小限度のものでなくてはなりません。

 また、成年後見制度は、「本人から権利を奪う」ための制度ではなくて、判断能力が低下した状態でも、その人の個人の尊厳(憲法13条)がしっかり守られ、その人らしい幸せを追求できるようにするための制度です。それが、ノーマライゼーションの意味です。

 このような成年後見制度の理念にも適う法改正がなされたことは、大きな前進だと思っています。

                                   弁護士 村上英樹