その他のご質問 Q1

Q.最近、民法改正についての新聞記事をよく目にしますが、改正の状況について教えてください。

 

 A. 

 民法のうち、債権関係の規定(契約等)と、相続に関する規定が改正されることになりました。

 債権関係の規定(債権法)については、明治29年の民法制定以来、初の大幅改正となります。

 重要な改正は、主に以下の4つです。

 ①債権の消滅時効

  業種ごとに様々であった短期消滅時効を廃止し、債権者が権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年のいずれか早い方との規定に統一する。

 ②法定利率  

   法定利率を現行の年5%から年3%に引き下げた上で、3年ごとに法定利率を変動させる。

 ➂保証  

   事業用の融資について、経営者以外の者が保証人になろうとする場合、公証人による意思確認を必要とする。

 ④約款 

  定型約款を契約内容とする旨の表示があれば、個別の条項に合意したものとみなされ、約款が契約の内容となる。しかし、信義則(民法1条2項)に反して相手方の利益を一方的に害する条項は無効である。また、事業者が定型約款を一方的に変更するための要件についても定める。

 

 改正債権法は基本的に2020年4月1日に施行されますが、経済活動に与える影響を緩和するため、2つの例外が先んじて施行されます。債権法の施工スケジュールは以下の通りです。

 

2018年4月1日 定型約款に対する反対の意思表示に関する規定が施行         

※定型約款に関しては、施行日前に締結された契約にも改正後の民法が適用されるが、施行日前(2020年3月31日まで)に反対の意思表示をすれば,定型約款が契約の内容とならない。

2020年3月1日 公証人による保証意思の確認手続についての規定が施行

※施行日から円滑に保証契約の締結をすることができるように、施行日前から公正証書の作成を可能としている。

2020年4月1日 改正債権法施行

 

 

 相続に関する規定も昭和55年以来大きな見直しは行われていませんでしたが、高齢化等の社会情勢の変化に合わせて、種々の新規定を盛り込んで改正が行われることとなりました。

 今回の改正では、大きく分けて6つの重要改正が行われています。

①配偶者居住権の新設

  配偶者が遺産である不動産に居住していた場合、相続が終わるまで無償で住める(短期配偶者居住権)。遺言や遺産分割協議によって、終身又は一定期間、配偶者に建物の使用を認めることを内容とする権利を定めることができる(長期配偶者居住権)。

②遺産分割等に関する見直し

  婚姻期間20年以上の夫婦が居住用不動産を遺贈すれば、当該不動産の価値を除外してその他遺産を分割できる。相続に先んじて故人の預貯金の一部払い戻しが受けられる。遺産分割前に共同相続人の一人が遺産を処分した場合の対策を定める。

➂遺言制度に関する見直し

  自筆証書遺言に、手書きでなくパソコン等で作成した財産目録を添付できるようになる。遺言執行者の権限を明確にする。自筆証書遺言の保管制度を新設する。

④遺留分制度に関する見直し

  遺留分は現物返還でなく、金銭請求とする。

⑤相続の効力に関する見直し

  相続した不動産についても、登記等の対抗要件を備えなくては、第三者に対して権利主張できない。

⑥特別の寄与の制度創設

  相続人以外の者で、故人の療養看護を行った者がいれば、その者にも金銭請求権を認める。

 

 今回の改正に関しては、新制度の周知に時間がかかるとの判断から、条文ごとに施行時期にズレがあり,注意が必要です。

2019年1月13日 自筆証書遺言の方式を緩和する方策が施行

2019年7月1日 原則的な施行期日

2020年4月 1日 配偶者居住権及び配偶者短期居住権の新設等