債権回収関係について Q2

Q.時効期間が迫っている債権があります。
  時効により消滅してしまうのを防ぐためには、何をすればよいのでしょうか?

 

 A.

  債権が時効により消滅してしまうことを防ぐには、時効を「中断」させなければなりません。
  法律(民法)は「中断」について、次の、3つの場合を挙げています(民法147条)。
  (1) 請求
(2) 差押・仮差押・仮処分
(3) 承認
順に簡単に説明します。

(1) 請求
  ここでいう「請求」には、大きく分けて、裁判上の請求と裁判外の請求があります。
 (ア)裁判上の請求
    訴訟の提起が代表的なものです。その他に、調停申立や支払督促申立などもこれに含まれます。
 (イ)裁判外の請求
    例えば手紙などで請求書を出すということがこれにあたります。
    裁判外の請求は証拠が残るように内容証明郵便で行うべきです。ただし、この場合時効中断の効果は6ヶ月しか続きません。従って、6ヶ月以内に裁判上の請求をする必要があります。
(2) 差押・仮差押・仮処分
  裁判所等に申し立ててする相手財産への差押手続などです。
(3) 承認
  自分が相手に債務を負っていることを認める行為のことです。
  債務の一部の弁済
  利息の支払い
  支払時期の猶予の申し出
 などがこれにあたります。

 上の(1)から(3)の時効中断事由((1)(イ)の裁判外の請求だけは例外)が生じると、その時点からまた新たに時効期間がスタートします。いわば、「振り出しに戻る」ということです。
 (3)の「承認」の場合は、相手からの支払が銀行振り込み等であれば証拠が残るので良いのですが、手渡しで一部弁済を受けたときや口頭で債務があることを認めてもらったときなどは、そのままでは証拠が残らないので、書面で、相手が債務を負っていることを認める内容を書いてもらう等をする必要があります。

 なお、2020年4月1日に施行される改正民法では、時効に関する新しい仕組みが定められています。

 改正民法では、基本的に、まず時効の「完成猶予」をしてから、時効の「更新」をするという流れです。とりあえず時効の完成を止めておき、その間に裁判等で権利関係を争います。あくまで猶予なので、権利関係が確定しなければ、また続きから時効完成までの期間がカウントされます。権利関係が確定すれば、時効完成までの期間がリセットされ、またゼロからのカウントとなります(これが「更新」です)。

 今までは、裁判上の請求をすれば、「中断」によって時効完成までの期間をいきなりリセットすることができましたが、改正民法では、裁判上の請求をしても、その時点では「完成猶予」の効果までしか生じません。裁判で権利が確定して初めて「更新」によって時効完成までの期間をリセットすることができるようになります。

 「完成猶予」が認められる事由、「更新」が認められる事由は種々あります。いずれにせよ時効完成前に行動し,時効の完成を阻止することが重要です。ぜひお早めに弁護士にご相談ください。