スタッフのコラム

「高齢者・障害者の権利」は誰もに身近なテーマ~弁護士 村上英樹

 ここ神戸では,神戸市と神戸市社会福祉協議会,学者,そして弁護士など専門職が集まって「シルバー法律研究会」というのを月1回開催しています。

 私はこの研究会の代表幹事を務めていて,年1回市民向けシンポジウムを行っています。

 今年も2月に「成年後見の過去・現在・未来」というテーマでシンポジウムを行ったのですが,今年は参加希望者が多く,約200人の会場でしたが事前申し込みだけで満員になり,それ以後は「お断り」する状態でした。

 このシンポジウムでは,実際に成年後見人を務める弁護士,司法書士,社会福祉士が,成年後見,つまり高齢者や障害者の方の支援をする中で起こる色んなことをざっくばらんに語る,など面白い内容を市民の皆さんに見ていただくことができました。

 一年間研究会で企画を練って,メンバーが知恵を出し合った結果,市民の皆さんに役に立つ情報を提供できたのが大変うれしいことでした。

 さて,このシンポジウムのときに,私が気づいたのは,なにより「時代の潮目が変わった」ということです。

 どういうことかといえば,一昔前ならば,「成年後見」や「高齢者・障害者の権利」というテーマでシンポジウムの案内チラシを配ったとしても,参加してくれる人は,

・ 医療や福祉関係の人

・ 特に,人権について意識が高い人

がほとんどでした。

 

 ところが,今回は,私が所属している全く別の団体でチラシを配布したところ,医療・福祉関係でもなく,「人権」について特に関心が高いというタイプの方でもなく,法律関係でもなく,ただ,

・ うちの両親のことの参考のために

・ 自分のこれからのために

ということで友達と連れだって参加して下さった方が多数いらっしゃいました。

 

 かつては,「高齢者・障害者の権利」というのは,「弱者の人権救済」という文脈で,少数者の権利を大切にしようという感じで語られるものでした。

 しかし,もともと本当はそうなのですが,「高齢者・障害者」は「誰も」がいずれそうなる状態という話です。

 だれでも高齢になりますし,生きているうちに身体の機能の一部を失っていきます(私でも,すでに「コンタクトレンズ」や「インプラント」で,失った身体機能を補いながら生きています)。

 もう,世の中の多くの人が「高齢者・障害者の権利」を「自分ごと」として考えている,ということが実感として感じられました。

 

 もちろんこれからさらに超・高齢化社会になれば解決しなければならない問題があるわけですが,より多くの人の知恵が集まることで,老いも若きもうまく調和して生きられる社会に近づいていくのではないか,という希望も感じています。

 私自身,日常業務で,「成年後見(保佐,補助)」の申立もしますし,「成年後見人」の仕事もしています。

 確かに,これらの仕事が裁判などのように「特殊な場面での業務」というより,多くの人が普通に遭遇する「日常的」「自然な」業務になってきている気がします。 

 これからも,私としては,一個人の弁護士として,また法律事務所として,さらに「シルバー法律研究会」として,高齢になっても,障害を負っても,生きている限り「自分らしく」生きられる世の中の実現に引き続き力を尽くしていきたいと思います。

                                  弁護士  村上 英樹